家具の塗装の種類
家具の塗装は、いくつかあります。ある程度、家具を色々と見ていると、どんな塗装で仕上げているかがわかってきます。
いくつか、塗装の種類と特徴をあげていきます。塗装といっても色を塗るわけではなく、家具を傷などから守ることや表面の質感が主な目的です。
ウレタン塗装
今現在で最も多い塗装方法です。家具として売っている物はほとんど2液ウレタンだと思います。
ホームセンターで売っている水性1液ウレタンとは強度そのものが全然違うので混同しないで下さい。
ちなみに1液ウレタンと2液ウレタンの大きな違いは硬化の仕方の違いです。
2液ウレタンは簡単に言うと、科学反応によって硬化するので、熱などに強いわけです。
メリット
熱や傷などにとにかく強いのが特徴です。日常の掃除程度で特に手入れは必要ありません。
色は完全に透明なので、木の色などに影響を与えることもありません。
デメリット
一度傷が付くと元に戻せない。しっかりコーティングして木を変化させないので経年変化が楽しめない。
ラッカー塗装
ウレタン塗装以前の家具の仕上げ塗装で多い仕上げです。
ヴィンテージ家具やアンティーク家具ではこの仕上げにすることも多い。
また、磨くと光沢が出る。
ラッカーの由来は、ラックカイガラムシが由来ですが、今現在は、ほとんどニトロセルロースラッカーが主流。
メリット
油性で乾きが早く扱いやすい。それなりに被膜も得られるので強度もある。
塗装時は、油性なので、溶剤のニオイがきつい。
デメリット
ウレタンより塗膜が弱く、熱にも弱く、ヤカンや熱いナベなどを置くと白い染みになる。
被膜が強いわけではないので、出来れば、定期的にワックスなどでメンテナンスが必要。
シェラックニス
ラッカー仕上げの一種で、アンティーク家具などに用いる。
こちらは、本物のカイガラムシをアルコール系溶剤に溶かして使う昔ながらの方法。
フレンチポリッシュを行う、光沢のあるアンティーク家具などは、このニスを使う。
オイルフィニッシュ
オイルを塗ることによって耐水性を与えた塗装仕上げ。
被膜はあまりなく、木本来の質感が得られる。木の呼吸を妨げず、木に優しい塗装方法として無垢家具などには人気の仕上げです。
再塗装なども容易です。
オイルが浸み込むので、色も一段階濃い色(濡れ色)になります。
メリット
木の質感や経年変化が楽しめる。塗り重ねても問題ない。(他の塗装は塗り重ねはあまりよろしくない)
デメリット
傷が付きやすく、約1年くらいで被膜効果がなくなってくるので、定期的にオイルを塗らなければならない
ソープフィニッシュ
名前の通り石鹸水を塗って仕上げる方法。あまり一般的ではない。
用途としては、ブナ(ビーチ)やホワイトオークなどの白木系の木材の場合、オイルフィニッシュにすると、黄色っぽくなるため、白さを維持するために仕上げ。
ウェグナーのYチェアの仕上げの一つとして有名です。
メリット
木が白いまま保てる。若干の汚れ防止効果が期待できる。
デメリット
オイルとほぼ変わらないが、オイルより被膜は弱い。ニオイが抜けにくい。
ワックス仕上げ
蜜蝋ワックスが有名。
オイルに蝋を溶かした物。
蝋(ロウ)の種類も蜂の巣から採れる「蜜蝋」やヤシから採れる「カルナバ蝋」がある。
各仕上げの上から塗ることも可能。磨き上げると光沢が出る。
メリット
だれでも簡単に塗ることが出来る。被膜が作れるので、汚れに若干強くなる。
磨けば光沢が出る。
デメリット
定期的なメンテナンス(塗り重ね)が必要。高温になると溶けだしべとつく場合が稀にある。
以上が、大まかな塗装の種類です。もっとたくさんの種類があります。
一般的に売っている家具の8割はウレタンかラッカーだと思います。
家具の年代やデザインの雰囲気で仕上げは使い分けまていきます。
個人的に塗替えする時は、オイルフィニッシュが多いです。
独学なので、間違えがありましたら、御指摘下さい。